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法話
2025/03/31
仏教の教えの中に諸行無常という教えがあります。「諸行無常」とは、すべてのものは常に変化し続け、決して永遠に同じ状態で存在しないという仏教の根本的な教えです。具体的には、自然現象、人間の感情、社会の変遷など、あらゆる事象は生じ、変化し、消えていくという教えです。私たちはこの変化、別れのある世界において心構えが必要なのです。その心構えとなる教えが「空」の教えです。
「空」
たとえば、一本の木を思い浮かべてください。木が育つには、種や土、水、光など、たくさんの要素が必要です。これらがそろって初めて木という存在が生まれます。つまり、木は一つだけで独りよがりに存在しているのではなく、周りのものとの関係の中で成り立っているのです。また、仏教の経典「般若心経」にある「色即是空、空即是色」という言葉は、目に見える形(色)と、その裏にある実体が固定されていない(空)という、本当の姿はひとつであるという意味です。これは、形あるものも実はたくさんの条件や関係によってできているため、固定された実体ではないということを示しています。波が海から生じるように、形あるものもその背景にある「空」の状態によって現れるのです。
この「空」の考え方を理解すると、物事に固執しすぎず、変化を自然なこととして受け入れられるようになります。例えば、困難な状況に直面したときも、「すべては一時的なもので、いろいろな要素が絡み合っている」と知れば、心が少し楽になるかもしれません。
「空」とは、すべてが互いに関係しあって生まれ、変わっていく状態を示す言葉です。これを知ることで、私たちは物事に対する執着を和らげ、柔軟で穏やかな心を持つ手助けとなるのです。
合掌