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金持ちではあるが愚かな人がいた。他人の家の三階造りの高層高く聳え、美しいのを見てうらやましく思い、自分も高層の家を造ろうと思った。
大工を呼び、建築を言いつけた。大工は承知し、まず基礎を造り、二階を組み、それから三階へ進もうとした。主人はこれを見て、「私の求めるのは土台ではない、一階でも、二階でもない、三回の高楼だけだ。早く作れ」と叫んだ。

愚かな者は、努め励む事を知らず、ただ良い結果だけを求める。
しかし、土台のない三階はあり得ないように、努め励む事なくして、良い結果を得られるはずがない。


―百喩経より―


この話では、土台、一階、二階を抜きにして、いきなり三階を造れと要求する人の話を取り上げています。

ものごとには必ず基礎になるものがあります。
それを抜きにして大成は望めません。

仕事にしても勉強にしてもスポーツにしても物事において基礎は何よりも重要で、まずは基礎をしっかり学び、それから先の段階に順を追って進んでいくものです。

これは努力の過程であり、辛苦の過程でもあります。
努力と辛苦なくしては、物事は達成しません。

仏教を開かれたお釈迦様=ブッダは亡くなる時、「物事は全て移り変わりゆくものである。怠る事なく努め励みなさい」と説かれたといいます。

遠い昔から、努め励む事の重要性は示されています。

どのような物事も基礎から行っていかなければ、到達する事は出来ません。

近道等なく、最初の一歩から努め励み日々精進していく事、これが人生をより豊かにしていく為に必要な事なのだと思います。

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