母の日
5月の第二日曜日は母の日です。この日の始まりは、アメリカの南北戦争まで遡ります。
戦いで負傷した兵士を助ける活動をしていた女性の娘さんと、その女性に助けて貰った兵士達が、亡くなった女性の追悼式を教会で行った事に始まります。
その時娘さんが、亡くなったお母さんが大好きだったという白いカーネーションを手向けたのが始まりとなりました。亡くなられたお母さんに白いカーネーションを送った事から、ご健在のお母さんには赤いカーネーションを送るようになりました。
お母さんという言葉
さて、「お母さん(おかあさん)」という言葉の「か」には、「火・日」が熱く“カッ”と燃え光り輝く様、万物の命の源を表すとも言われます。つまり「おかあさん」とは、「太陽のように明るく輝き、命を生み育む方」という意味がこめられています。ちなみに、「お父さん(おとうさん)」には、「尊い方」というのが語源になるといわれます。
父母がいなければ、今の自分は存在しません。その父母もそれぞれ両親がいなかったら生まれる事はできませんでした。
「父母恩重経」
仏教には両親の深い恩を説いた「父母恩重経」というお経があります。仏教経典の原典から訳されたものではなく、内容は儒教的なものなります。父と母が子供を産み育むのにどれだけの思いをかけているか、そしてその恩に報いるようにと説いたものです。
このお経が説かれた当時は、無事に子供を出産するということは、難しいことであり、出産しても現代のように医療が整っているわけもなく、ちょっとした病で亡くなってしまうという事が頻繁にあったことは想像に難くありません。ですが、現代でも母親にとって懐妊から出産まで、お腹の中の子供への気持ちは当時と変わりなく、深い想いを子供にかけています。そして産みの苦しみを耐えて、無事に産まれた赤ちゃんの声を聞いたら、自分が生まれたごとくに、それ以上に喜びを感じるのではないでしょうか。
誕生日は、「母の受難の日」ともいわれていますが、子供を産むという行為は母親にとって、とても大変な事であります。
小さなお子さんがいる方は「母の日」には、命を胎内で育み出産という大変な苦しみ、思いを乗り越え、無事に生まれきてくれた時の気持ちを、お子さんに話して下さい。子供の無事な成長を願う事に併せて、その陰にある両親、特に母親の労苦を子供に理解させることは、子供にとって大切な事になります。その積み重ねによって、感謝の気持ち・人の痛み苦労を感じる事ができる心が子供の中に育っていくのではないでしょうか。
母の日を迎える今月、来月には父の日もあります。どうぞ今一度、両親の恩を省みられて下さい。そして、まず言葉で感謝の念を伝えて下さい。もし既に浄土に赴かれている時は、お仏壇や墓前にて、自身・家族が無事に生活できている事を伝えて下さい。決して返すことはできない、両親の大きな愛情・恩への感謝の気持ちを伝える機会とされて下さい。
合掌